「お答えするほどのことでは」というフレーズを聞いたことはありますか? 相手が根掘り葉掘り事情を知りたがってくるとき、やんわりと拒絶しつつ、話題を流すのに適した言い回しです。相手には言いづらい内容や、まだお互いの信頼関係が十分に育っていない段階で、詳しく話したくないこともあるでしょう。
特にビジネスシーンでは、こちらが「話したくない」あるいは「まだ開示すべきでない」情報を求められる場合も少なくありません。そんなときに使えるフレーズが「お答えするほどのことでは」です。本記事では、その具体的な使い方や注意点、そして実際に使える文例を多数ご紹介していきます。
「お答えするほどのことでは」とはどんな意味?
- 相手の質問を遠回しに拒否する
「お答えするほどのことでは」とは直訳すると、「わざわざ答えるほどの大事ではない」「答える必要があるほどの情報ではない」という意味合いです。このフレーズを使うと、質問されても「そこまで大した内容じゃないので、深入りはご遠慮ください」とやんわり示せます。 - 言い過ぎると角が立つ?
相手によっては、拒絶的なニュアンスを強く受け取ってしまう場合もあるため、使い方には注意が必要です。表情や口調を柔らかくし、笑顔を添えるなど、相手が不快にならない配慮が求められます。
どんな場面で使える?
- ビジネスの場で深い話を聞かれたとき
まだ関係性が浅いのに、会社の内部事情や経歴をしつこく聞かれるケースなど。 - 個人的なプライバシーを詮索されたとき
職場や取引先で、あまり仲の良くない相手から私生活について聞かれる場合。 - 秘密保持が必要なとき
新商品や新サービスの情報など、まだ公表できない段階で詳細を聞かれた場合。
上手に「お答えするほどのことでは」を活用すれば、穏便に話題を変えたり、質問を回避したりできます。
NG例と注意点
下記のような使い方は、誤解を招いたり、失礼な印象を与えたりする可能性があるため避けましょう。
- 「お答えするほどのことでは、では何もわかりません。」
- 「お答えするほどのことでは? それはあり得ませんよ。」
- 「お答えするほどのことでは」と短く言い放ち、そのまま沈黙する
ポイント:
- フレーズ自体にやや拒絶感があるため、表情や声のトーン、続く言葉で柔らかさを出すのが大切です。
- 露骨に拒否するのではなく「軽い調子で話題を変える」くらいの感覚を持ちましょう。
ビジネスメールで使うときの例
メール文面でも「お答えするほどのことでは」は利用できますが、かしこまった表現に改めるのがポイントです。以下に2つのパターンを示します。
パターンA:製品に関する質問へのお断り
件名:製品○○に関するお問合せの件
株式会社ブライト
営業部 岸本様平素より大変お世話になっております。株式会社タクトの三村です。
このたびは「製品○○」についてご質問いただき、誠にありがとうございます。
恐れ入りますが、製造方法の詳細につきましては、現段階ではお答えするほどのことでは、という社内判断に至っております。お役に立つ情報をお伝えできず、大変恐縮ですが、ご理解賜れますと幸いです。
他にご不明点などございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。何卒よろしくお願い申し上げます。
株式会社タクト
営業課 三村 要
TEL:xxx-xxxx-xxxx
パターンB:取引上の機密情報を聞かれた場合
件名:ご提案に対するお返事の件
株式会社ステア
営業部 大塚様いつもお世話になっております。株式会社ウィルの真田と申します。
先日はご提案に関して詳細を共有いただき、ありがとうございます。
ご質問をいただいた「契約条件の背景」につきましては、お答えするほどのことではないというのが弊社の見解でございます。
現時点では未確定事項が多く、詳細を公開できない点ご理解いただけますようお願い申し上げます。何か進捗があり次第、改めてご連絡いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。
株式会社ウィル
営業企画部 真田 幸
TEL:xxx-xxxx-xxxx
「お答えするほどのことでは」お勧め文例20選
ここからは、実際に使える例文をランダムに並べてご紹介します。人名や会社名は架空のもので、状況に応じてアレンジしてください。
- 「新製品の企画内容については、現段階ではお答えするほどのことではございません。」
- 「私の個人的な経歴に関しては、まだお答えするほどのことではないと思います。」
- 「先日の会議での決定事項については、今お話しできる範囲ではお答えするほどのことではございません。」
- 「ABC社との契約締結時期については、お答えするほどのことではないと判断しております。」
- 「退職後の進路については、お恥ずかしい話でお答えするほどのことではありません。」
- 「開発資金の調達方法について伺いたいとのことですが、まだお答えするほどのことではない段階です。」
- 「あの部長をどう説得したかよく聞かれますが、実際はお答えするほどのことではありません。」
- 「弊社の新プロジェクトの採用基準に関しては、正直お答えするほどのことではございませんのでご了承ください。」
- 「取引先の交渉スキームに関しては、お答えするほどのことではないかと存じます。」
- 「なぜ私がこの企画をリードしているのかと聞かれましても、お答えするほどのことではありません。」
- 「今後の提携プランについては、内部で検討中のためお答えするほどのことではないとご理解ください。」
- 「私と会社の代表がどういう関係か尋ねられましたが、お答えするほどのことではありませんね。」
- 「先日のイベントを成功させた秘訣ですか? 実はお答えするほどのことではなく、運が良かっただけです。」
- 「今期の売り上げ予測を詳しく聞かれましたが、現時点ではお答えするほどのことではないとの結論です。」
- 「B社との話がどこまで進んでいるかとお尋ねでしたが、今はお答えするほどのことではありません。」
- 「先方の契約条件をどうやって獲得したか尋ねられましたが、お答えするほどのことではないとしか言えません。」
- 「人事異動の裏事情について聞かれても、社内的にお答えするほどのことではないとご理解ください。」
- 「私の転職理由については、正直お答えするほどのことではありません。あまり大きな動機でもないので。」
- 「あの取引先からの紹介ルートを根掘り葉掘り聞かれましたが、お答えするほどのことではないのが実情です。」
- 「設備投資額がどのくらいか教えてほしいと言われましたが、まだお答えするほどのことではございません。」
使い方のコツと注意点
- トーンを柔らかく
「お答えするほどのことでは」とは、相手の質問を拒むニュアンスを含む言葉です。冷たい印象を与えないよう、笑顔や優しい口調で伝えましょう。 - すぐに話題を変える
このフレーズを使った直後は、一瞬空気が張り詰めるかもしれません。すかさず別の話題にシフトする、あるいは相手を褒めるなどして自然に会話を進めましょう。 - 不必要に乱用しない
質問のたびに「お答えするほどのことでは」と返してしまうと、完全に相手をシャットアウトする形になり、信頼関係を損ねかねません。必要最小限にとどめましょう。
営業マンが上手に使うために
- 無用な詮索をかわす武器
営業活動のなかでは、こちら側が明かしたくない情報を相手に聞かれることもあります。その際に、やわらかな拒絶として「お答えするほどのことでは」を活用しましょう。 - 話題転換のスキルを磨く
ただ「お答えするほどのことではありません」とだけ言って沈黙すると、相手との空気が悪くなりがちです。次の話題や相手が興味を持ちそうなトピックをサッと差し込むなど、会話の舵取りが重要です。 - 相手の立場を考慮する
もし相手が重要顧客や上司の場合は、やみくもに使うと不快感を与えるリスクがあります。適度に言い回しを変えたり、丁寧な表現(「申し訳ございませんが」「恐縮ですが」など)を添えてやわらげたりすることを忘れないでください。
まとめ
「お答えするほどのことでは」という言葉は、相手のプライベートな詮索やビジネス上まだ明かせない情報などをやんわりとかわす便利なフレーズです。ただし、やや拒絶感を伴うため、使いすぎると冷たい印象を与えてしまいかねません。話すときの態度やトーンを柔らかくすると同時に、フォローとして会話を別の方向に導くなど、スムーズに場を収める工夫が必要です。
ポイントをおさらい
- 拒絶するなら柔らかい口調で
- すぐ話題を変えて空気を悪くしない
- 相手の立場を考慮し、角が立たないよう配慮
上手に活用すれば、無用な衝突を避けながら、必要以上の情報を開示しなくても済むようになります。ビジネスコミュニケーションをスムーズにする技の一つとして、ぜひ覚えておきましょう。
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