日々のビジネスシーンで、敬意を示しつつ相手に承諾の意を伝える表現は欠かせません。その中でも特に「承知いたしました」という言葉は、上司や取引先とのやり取りにおいて頻繁に用いられる便利な敬語表現です。
「承知いたしました」は、単に「わかりました」と伝えるだけでなく、謙譲の意を含むことで相手に対する丁寧な印象を与えることができます。しかし、その適切な使い方や場面によっての使い分けを知らなければ、かえって誤解を招いてしまう可能性も。
本記事では、「承知いたしました」の正しい意味や使い方、また類似表現との違いについて詳しく解説します。この表現をマスターして、より信頼されるコミュニケーションを目指しましょう。
「承知いたしました」の意味
まずは、「承知」という言葉の基本的な意味を確認してみましょう。「承知」には以下のような意味があります。
- 物事の事情を理解すること、または知っていること。
- 依頼や要求を受け入れること、承諾すること。
- 相手の事情を理解し、許容すること。
このように複数の意味を持つ「承知」ですが、ビジネスシーンで使われる「承知いたしました」は、特に「依頼や要求を受け入れる」という意味合いで用いられることがほとんどです。
「承知いたしました」の正しい使い方
「承知いたしました」という表現には、「いたす」という明確な謙譲表現が含まれており、非常に丁寧な言葉遣いとなっています。そのため、主に上司や顧客など、目上の人や外部の相手に対して使うのが適切です。
「承知いたしました」は二重敬語?
「承知いたしました」を使う際、「二重敬語ではないか」と疑問に思う方も少なくありません。しかし、結論から言えば、この表現は二重敬語には該当しません。
少し文法的に説明すると、
- 「承知」は尊敬語ではなく、単なる名詞に近い表現です。
- 「いたす」は謙譲語で、自分の行動をへりくだって表します。
- 「ました」は丁寧語として、相手への敬意を示します。
つまり、「承知いたしました」には尊敬語が含まれていないため、二重敬語とはなりません。安心して使うことができます。
「承知いたしました」と「承知しました」の使い分け
どちらの表現も丁寧な言葉ですが、使い分けの目安としては以下が挙げられます:
- 「承知しました」:社内の上司や先輩など、目上の人に対して使う。
- 「承知いたしました」:顧客や取引先など、社外の相手に対して使う。
このように使い分けることで、適切な敬語表現を保ちながら、相手に対して好印象を与えることができます。
「承知いたしました」のお勧め文例30選
ビジネスシーンで使える「承知いたしました」の例文を以下にご紹介します。参考にしてください。
- 承知いたしました。このプロジェクトを必ず成功させてみせます。
- ご提案内容について、承知いたしました。正式契約書を次回お持ちください。
- 25日18:00に5名様でご予約ですね。承知いたしました。
- 承知いたしました。本日はお忙しい中ありがとうございました。
- 来週火曜日までの書類提出について、承知いたしました。
- 価格変更に関するご連絡、承知いたしました。
- 承知いたしました。それでは、こちらで調整いたします。
- 御社への資料提出の期限が今月末とのこと、承知いたしました。
- 工事の進捗状況につきまして承知いたしました。納期は確実に守りますのでご安心ください。
- ご依頼いただきました件、承知いたしました。準備は当日までに完了させます。
- ご予約の変更について、承知いたしました。
- 承知いたしました。20日の締切までに資料を整えてお送りします。
- 承知いたしました。修正後の資料を明日15:00までにお届けいたします。
- 先日はありがとうございました。次回の打ち合わせについて承知いたしました。どうぞお気を付けてお越しください。
- 明日13:00に御社へ訪問ですね。承知いたしました。
- 日程変更についてのご連絡、確かに承知いたしました。
- 承知いたしました。課長の大野にもすぐに共有いたします。
- 打ち上げについてのご連絡、承知いたしました。楽しみにしております。
- ご要望内容につきましては、承知いたしました。
- 今回の急なスケジュール変更は承知いたしかねます。
- 来月の会議について、議題と進行案を承知いたしました。
- 承知いたしました。次回会議に向けて準備を進めます。
- 冬用タイヤを追加で発注ですね。承知いたしました。
- 新規プロジェクトの担当者変更に関する件、承知いたしました。
- 承知いたしました。追って詳細をお知らせいたします。
- 新しい価格設定に関する件、承知いたしました。
- 承知いたしました。ホテルの手配は私が担当させていただきます。
- 先日はありがとうございました。次回の打ち合わせについて承知いたしました。どうぞお気を付けてお越しください。
- ご提案内容について、承知いたしました。正式契約書を次回お持ちください。
- 承知いたしました。週明けの火曜日には見積書をご提出いたします。
「承知いたしました」のNGな使い方
- 無理を承知いたしました上でのお願いです。
- 君の意見は百も承知いたしましたが、そのうえでの判断です。
- 経緯については承知いたしましたしておきたい。
- 予想していたよりも時間がかからないと承知いたしました。
- 決算書に一部誤りがあることを承知いたしました。
- この件については、私、山内が承知いたしました。
- 本日がお誕生日と承知いたしましたので、お花をご用意させていただきました。
これらがNGな理由
上記の例は、文法的に誤っているものや、不自然な敬語の使い方をしているものです。特に、「承知いたしました」を無理に当てはめたり、場面にそぐわない形で使用すると、相手に違和感を与える可能性があります。正しい使い方を心がけ、適切な場面で使いましょう。
「承知いたしました」の類似表現と使い分け
・かしこまりました
主に上司や取引先など、目上の人からの依頼や指示に応える際に使われる表現です。「承諾しました」というニュアンスを含み、丁寧で柔らかい印象を与えます。「承知いたしました」と同様の場面で使用することができます。
・了解いたしました
ややカジュアルな印象があり、親しい上司や気心の知れた部下とのやり取りで使われることが一般的です。ただし、フォーマルなビジネスシーンでは「承知いたしました」や「承知しました」の方が適切です。
・承りました
目上の人からの指示や依頼を受けたことを丁寧に伝える際に使用します。「承知しました」と同じ意味合いで使えますが、特に社外の相手とのやり取りで用いられることが多い表現です。
・了承いたしました
「承知いたしました」と非常に似た場面で使われますが、ニュアンスとしてはやや堅い印象を与えます。ただし、一般的には「承知いたしました」や「承知しました」がより広く使われる傾向にあります。
・承諾いたしました
この表現は、特にメールや文書の中で用いられることが多く、「承諾書」などの言葉とも関連性があります。「承知いたしました」よりも、引き受ける意思を強調したい場合に適しています。
まとめ:ビジネスでの「承知いたしました」の活用方法
この記事では、「承知いたしました」の使い方や類義語、例文を詳しくご紹介しました。
「承知いたしました」という表現は、「理解しました」や「承諾しました」といった意を、丁寧かつ敬意を込めて伝えることができる便利な敬語です。会話の中だけでなく、ビジネスメールや書面でもよく使われ、さまざまな場面で役立ちます。
また、同じような意味を持つ表現が複数あるため、それぞれの違いや適切な使い分け方を知っておくと、さらに印象を良くすることができます。
「承知しました」と「承知いたしました」のニュアンスの違いを理解したら、実際の仕事で積極的に使ってみることが大切です。使うことで自然と身につき、ビジネス敬語をより効果的に使いこなせるようになります。
適切な言葉遣いは、上司や取引先、顧客との信頼関係を深め、あなたの評価を高める大きな力となります。この機会に習得して、実践してみてください。
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