誰かから褒められたとき、どのように返事をすればよいか迷ったことはありませんか?特にビジネスシーンでは、単に「ありがとうございます」と言うだけでなく、適切な敬意を込めた表現を使うことが求められます。
そんな場面で役立つのが「お褒めにあずかりまして」という表現です。この言葉は、相手の称賛を丁寧に受け止めながら、感謝の気持ちを伝えるフレーズとして使われます。しかし、場面によって適した使い方が異なるため、適切なシチュエーションや言い換え表現を知っておくことが重要です。
本記事では、「お褒めにあずかりまして」の意味や使い方、適切な返し方、さらにはビジネスで活用できる例文まで詳しく解説します。これを読めば、上手にこの表現を使いこなし、より洗練されたコミュニケーションが取れるようになるはずです。
「お褒めにあずかりまして」の意味とは?
まず、この表現の意味を確認してみましょう。
「お褒めにあずかりまして」は、「褒めてもらう」という意味を持つ表現です。ここで使われている「あずかる」は、「~を受ける」という意味の丁寧な言葉で、特に目上の人からの恩恵を受ける際に用いられます。
つまり、このフレーズは「褒めてもらって光栄です」といった気持ちを表すものです。単に「褒めてもらって」と言うよりも、相手への敬意が込められており、場面によっては丁寧な印象を与えます。
しかし、表現の仕方によっては受け取る印象が微妙に異なるため、使い方には注意が必要です。
「お褒めにあずかりまして」の適切な使い方
「お褒めにあずかりまして」は、相手から称賛を受けた際の返答として使われる表現です。特に、ビジネスシーンなどで目上の方から評価された際に用いると、丁寧で適切な印象を与えます。
例えば、上司から以下のような言葉をかけられた場合を考えてみましょう。
- 「〇〇社との契約を成立させたとは、大したものだね。」
- 「提出してもらった資料、とても分かりやすく整理されていたよ。」
こうした言葉に対し、「お褒めにあずかりまして、ありがとうございます。」と返すことで、礼儀正しく感謝の気持ちを伝えることができます。
この表現は、基本的に自分より立場が上の人に対して使う言葉であり、同等の立場や目下の人に対して用いるのは適切ではありません。また、相手に与える印象が異なるため、場面や状況に応じて適切なフレーズを選ぶことが大切です。
「お褒めにあずかりまして」を使った表現例
① お褒めにあずかりまして光栄です
「光栄です」という言葉は、「名誉に感じる」という意味を持ち、特に目上の人に対して使いやすい表現です。
例
上司から「君のプレゼンは素晴らしかった。初めてとは思えないね。」と評価された際、
➡「お褒めにあずかりまして光栄です。」
この表現を使うことで、相手に敬意を示しながら喜びを伝えることができます。
② お褒めにあずかりまして嬉しいです
こちらは、素直な気持ちを伝える表現です。少しカジュアルなニュアンスになりますが、社内の上司や取引先との会話でも適用できます。
例
「先日お願いした資料、とても分かりやすくて助かりました。」
➡「お褒めにあずかりまして嬉しいです。」
率直に喜びを表すことで、より自然な印象を与えます。
③ お褒めにあずかりまして恐縮です
「恐縮です」は、「恐れ入ります」や「感謝いたします」という意味を持ち、謙虚な姿勢を示すのに適した言葉です。
例
会社の役員や社長から直接、成果を評価された場合、
➡「お褒めにあずかりまして恐縮です。」
この表現は、特に相手が自分より大きく立場が上の人である場合に有効ですが、同僚や年齢が近い上司に使うと、かえって堅苦しくなることがあるため注意が必要です。
④ お褒めにあずかりまして嬉しく思っております
この表現は、落ち着いた印象を与え、口頭だけでなくメールや手紙にも適しています。
例
クライアントから「素晴らしい提案をありがとうございました。」と言われた場合、
➡「お褒めにあずかりまして嬉しく思っております。」
さらに、「誠にありがとうございます。」と付け加えることで、より丁寧な印象になります。
⑤ お褒めにあずかりまして有難い限りです
こちらは、深い感謝の意を示したい場合に適した表現です。特に、取引先や顧客から評価を受けた際に使うと良いでしょう。
例
「御社の対応がとても丁寧で助かりました。」と言われた場合、
➡「お褒めにあずかりまして有難い限りです。」
「ありがとうございます」よりも感謝の気持ちが強く伝わるため、フォーマルな場面でも有効です。
「お褒めにあずかりまして」は、相手への敬意を示しながら感謝の気持ちを伝える便利な表現です。ただし、状況に応じた適切な言い回しを選ぶことが重要です。
- フォーマルに伝えたい場合:「お褒めにあずかりまして光栄です」「お褒めにあずかりまして恐縮です」
- カジュアルに伝えたい場合:「お褒めにあずかりまして嬉しいです」
- より深い感謝を伝えたい場合:「お褒めにあずかりまして有難い限りです」
これらの表現を使い分けることで、ビジネスシーンや日常のやり取りで適切に感謝の気持ちを伝えることができます。
「お褒めにあずかりまして」の誤った使い方
以下のような表現は、不適切な使い方にあたります。
- お褒めにあずかりまして、かえって気まずい思いです。
- お褒めにあずかりまして、ありがたくは思いますが……。
- お褒めにあずかりましたが、納得しきれません。
- お褒めにあずかりながらも、お返事に困ってしまいます。
- お褒めにあずかりまして、恐縮ですが……。
- お褒めにあずかりまして、ごもっともなことです。
- お褒めにあずかりつつも、ご指摘の点は理解していますが……。
このような表現は、相手の言葉を受け止める姿勢に欠けているため、適切とは言えません。
過度な謙遜は逆効果
日本には謙虚な態度を美徳とする文化がありますが、過度に自分を否定することは、相手の好意を無駄にしてしまう可能性があります。
例えば、相手が純粋に「素晴らしいですね」と称賛してくれたにもかかわらず、
「そんなことありません」や「大したことはありません」と強く否定してしまうと、せっかくの良い印象が損なわれることもあります。
特にビジネスの場では、自分の成果や提供する商品・サービスを否定することで、相手に不安や不信感を与えてしまうことがあるため注意が必要です。
謙虚な返答をしたい場合でも、
「まだまだ努力が必要ですが、励みになります。」
「お褒めにあずかりまして、光栄です。これからも精進してまいります。」
といった形で、前向きな姿勢を見せることが大切です。
感謝の気持ちを伝えることが大切
また、褒め言葉を受け取る際は、言葉だけでなく表情にも気を配りましょう。感謝の気持ちが伝わるよう、笑顔で受け答えすることが重要です。
さらに、成果を一人の功績ではなく、周囲のサポートのおかげであることを示すと、より謙虚な印象を与えます。
例えば、
「お褒めにあずかりまして、ありがとうございます。これはチームの協力があってこそです。」
といった言葉を添えることで、相手にも好印象を与えることができます。
また、今後の意欲を示すことで、より良い関係性を築くことができます。
「お褒めにあずかりまして、身が引き締まる思いです。さらに努力を重ねてまいります。」
といった表現を使うと、謙虚さと向上心が伝わるでしょう。
- 過度な謙遜は避け、素直に感謝の気持ちを伝える。
- 否定的な返答は相手に不信感を与えるため、ポジティブな表現を心がける。
- 笑顔で応じ、周囲への感謝を示すと好印象につながる。
- 今後の意気込みを伝えることで、前向きな姿勢をアピールできる。
「お褒めにあずかりまして」という言葉は、適切に使うことで、より良いコミュニケーションにつながります。正しい表現を身につけて、スマートな受け答えを心がけましょう。
「お褒めにあずかりまして」を使ったおすすめの表現30選
光栄を表す表現
- 「先日の契約についてお褒めにあずかりまして光栄に存じます。田中様のご協力があってこその成果です。」
- 「このような役職を任せていただき、お褒めにあずかりまして光栄です。より一層努力してまいります。」
- 「お褒めにあずかりまして光栄です。これも鈴木課長のご指導のおかげです。」
- 「今期の業績についてお褒めにあずかりまして光栄です。来期も一層の成果を目指します。」
- 「このような賞をいただき、お褒めにあずかりまして本当に光栄です。応援してくださった皆様に心より感謝いたします。」
嬉しさを表す表現
- 「お褒めにあずかり、大変嬉しく思います。」
- 「地道な努力をお褒めにあずかり、素直に嬉しいです。」
- 「新サービスについてお褒めにあずかり、嬉しく思います。」
- 「弊社の商品が●●に掲載され、多くの方からお褒めにあずかり嬉しい限りです。」
- 「プロジェクトリーダーとしての成果についてお褒めにあずかり、大変嬉しいです。」
- 「お部屋や温泉についてお褒めにあずかり、大変嬉しく思います。」
- 「私のスピーチをお褒めにあずかりまして、大変嬉しい限りです。」
- 「ご来店されたお客様から、清潔さをお褒めにあずかり、スタッフ一同嬉しく思っております。」
- 「お客様から料理の美味しさをお褒めにあずかり、大変嬉しく思います。」
- 「この一年の成長をお褒めにあずかり、大変嬉しく思っています。」
恐縮を表す表現
- 「お褒めにあずかりまして、誠に恐縮しております。」
- 「弊社の対応をお褒めにあずかり、恐縮です。」
- 「まさか先生からお褒めの言葉をいただけるとは、恐縮の限りです。」
- 「貴重なお言葉をいただき、弊社をお褒めにあずかり恐縮です。」
- 「この度、過分なお褒めにあずかりまして、誠に恐縮しております。」
感謝と励みを表す表現
- 「弊社スタッフの礼儀正しさについてお褒めにあずかり、ありがたい限りです。」
- 「私たちが心を込めて作った商品をお褒めにあずかり、ありがたい限りです。」
- 「弊社のサービスをお褒めにあずかり、励みになります。」
- 「貴重なご意見をいただき、お褒めにあずかりましてありがたい限りです。」
- 「弊社の対応の速さをお褒めにあずかり、誠にありがたく存じます。」
- 「当社スタッフの接客をお褒めにあずかり、大変ありがたく思います。」
- 「当店のおもてなしの心をお褒めにあずかり、ありがたい限りです。」
- 「このプロジェクトの成功をお褒めにあずかり、大変ありがたく思っております。」
- 「私どもが精一杯取り組んだことを評価していただき、ありがたく存じます。」
- 「ご助言をいただいたうえに、お褒めにあずかりまして、大変励みになります。」
「お褒めにあずかり…」と言われたときの適切な返答
「お褒めにあずかり…」という言葉を受けた際、どのように返すのが適切でしょうか。返答に迷って言葉に詰まってしまうのは避けたいところです。
この表現は、相手が最大限の敬意を込めて使う言葉です。つまり、自分が称賛した相手が、それに対して丁寧に応じているということになります。
したがって、返答としては以下のようなフレーズが適しています。
- 「これからも期待しています。」
- 「今後の活躍を楽しみにしています。」
こうした言葉をかけることで、相手のモチベーションを高め、さらなる成長を促すことができます。特に、目上の立場にある場合は、部下や後輩のやる気を引き出すような返答を心がけると良いでしょう。
「お褒めにあずかり…」の別の表現
「お褒めにあずかり…」というフレーズには、さまざまな言い換えが可能です。場面や相手に応じて、適切な表現を選ぶと良いでしょう。
代表的な例としては、次のようなものがあります。
- 「今後も一層努力してまいります。」
- 「〇〇様のご指導のおかげです。」
- 「身に余るお言葉をいただき、恐縮しております。」
また、以下のような言葉も、同じ意味合いで使うことができます。
- 「ご厚意にあずかり」
- 「お褒めいただき」
- 「温かいお言葉を頂戴し」
このように、シーンに応じて適切な表現を選ぶことで、より洗練された印象を与えることができます。
まとめ:営業職が「お褒めにあずかり」を適切に活用するために
これまで、「お褒めにあずかり…」の意味や使い方について、具体的な例を交えながらご紹介してきました。
この表現は、特に目上の方から称賛を受けた際に活用でき、同時に感謝と敬意を示す役割も果たします。
褒められた際の適切な返答は、慣れていないと難しく感じることもあります。そのため、いくつかのフレーズを覚えておくと、スムーズに対応できるでしょう。
相手があなたを認め、期待を込めて言葉をかけてくれているのですから、その気持ちに誠意をもって応えることが大切です。言葉で感謝を伝えるだけでなく、さらに成果を出すことで期待に応えていきましょう。
「お褒めにあずかり」を上手に活用し、より良い人間関係を築いていきましょう。
コメント