日常生活やビジネスの場で耳にすることがある「空茶ですが…」「粗菓ですが…」。
これらの言葉は、お茶やお菓子を勧める際に使われる、謙遜を込めた表現です。表面上は控えめに聞こえますが、実は相手を大切に思う気持ちが込められていることをご存じでしょうか?
今回は、「空茶」と「粗菓」の意味や使い方について詳しく見ていき、これらの言葉をより適切に使うためのポイントをご紹介します。また、類語表現についても触れ、さまざまな場面で活用できる表現方法をお伝えします。
「空茶」と「粗菓」の意味
まずは、「空茶」と「粗菓」の意味を確認してみましょう。
- 「空茶(からちゃ)」は、お茶のみを提供することを意味します。お菓子が一緒に出されない際に使われます。
- 「粗菓(そか)」は、控えめで質素なお菓子を指します。この表現は、贈り物やお菓子を勧める際に、謙遜の気持ちを込めて使われます。
辞書にはこのように記載されています。
「空茶ですが…」「粗菓ですが…」の使い方
ビジネスの場でも、時折「空茶ですが…」「粗菓ですが…」といった表現が使われることがあります。
訪問先で「空茶ですが…」「粗菓ですが…」とお茶やお菓子を勧められたことはありませんか?
「空茶ですが…」は、お茶をどうぞという意味です。また、お菓子がない場合には「お茶だけで申し訳ありません」という気持ちも込められています。
「粗菓ですが…」は、お菓子をどうぞという意味で、謙遜しながらお茶やお菓子を勧めている表現です。
「空茶ですが…」「粗菓ですが…」のNG例
- あるお宅にお邪魔すると、いつも空茶だけだ。
- 「粗菓ですが」と言われて出されたお菓子が本当に粗末だった。
- その粗菓は口にする気にもなれなかった。
- お招きいただいたのに空茶だけとは…
- 期待していなかったが、やはり粗菓だった。
- 忙しいから空茶も粗菓もいらない。
- せっかくの空茶、粗菓ですが、あいにくお茶を飲んできたばかりで…
このような言い方は誤った使い方です。
「粗菓」は、実際に粗末なお菓子を指すわけではなく、謙遜を込めて使う言葉です。
他人にお茶やお菓子を勧めるときに、へりくだる気持ちで使います。
したがって、本当に粗末なお菓子を勧めているわけではなく、あくまでも謙遜の表現です。
例えば、「結構なものを頂戴しました」「身に余るものを頂きました」という感謝の気持ちをその場で返すか、手紙でお返しするのが良いでしょう。
相手が「粗菓」と言ってお菓子を出してきたからといって、受け取る側がそのお菓子に対して「粗末」と言ってしまうのは失礼にあたります。
これは絶対に避けるべきです。
参考として、以下のような例文が適切です。
- 「空茶で失礼ですが」
- 「粗菓ですがお召し上がりください」
- 「粗菓ですが、お口に会えば良いのですが」
「粗菓ですが…」と言われて茶菓子を出された際は、必ずお礼を言うことが大切です。
私は素直に「美味しいです」と言うようにしています。
また、以下のようなお礼の言葉も良いでしょう:
- 「珍しいものを頂き、ありがとうございました」
- 「賞味させていただきました」
- 「結構なお品を頂き、ありがとうございました」
正式な場面では、このような表現が求められることが多いです。
「空茶ですが…」「粗菓ですが…」の類語表現
「空茶ですが…」「粗菓ですが…」の類語として使える表現をご紹介します。知っておくと、さまざまな場面で役立つことでしょう。
つまらないものですが
何かを差し上げる際に、謙遜して使う表現です。ビジネスシーンや日常生活で頻繁に使用されます。
・「以前、海のものが大好きだと伺っておりましたので、先日、金沢に出張の際にカニみそを手に入れてまいりました。つまらないものですが、どうぞご家族でお召し上がりください。」
お納めください
「お納めください」という表現も、ビジネスや日常的な場面でよく使用されるフレーズです。
・「本日はお忙しいところ、私共の設立記念日での講演をしていただき、誠にありがとうございました。無償でお話しいただくつもりでしたが、お車代として少しですが包ませていただきました。ぜひお納めください。」
粗品
「粗菓」と使い方が似ている表現です。
・「本日はご来場いただき、誠にありがとうございました。わざわざ遠方からお越しいただき、本田様には心より感謝申し上げます。こちらは粗品ではありますが、ご笑納ください。これからの季節にお役立ていただけるかと思います。」
召し上がれ
「召し上がる」という言葉は、食事を提供する際に使う尊敬語です。相手に食べ物を勧める時に使います。
・「本日は暑い季節にぴったりのかき氷をご用意いたしました。どうぞあちらにお進みいただき、準備が整いましたらお召し上がりください。」
ご笑納ください
贈り物をする際に相手に対して謙遜して使う表現です。ビジネス文書では、親しい間柄で使うのが適切です。
・「本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。こちらは長野県の特産品で、「シナノゴールド」というリンゴです。ご笑納いただければ幸いです。」
「空茶ですが…」「粗菓ですが…」のまとめ
「空茶ですが…」「粗菓ですが…」は、これまでお話ししてきた通り、謙遜を込めた言い回しです。お茶やお菓子を勧める際に使われますが、決して粗末なものを意味するわけではないことはお分かりいただけるかと思います。
ただ、最近では何かを贈る際に、自分を謙遜する場面が少なくなっているようにも感じます。贈り物をする場面では、その人の人間性が自然と表れると言われています。
「空茶ですが…」「粗菓ですが…」の背後には、相手を大切に思う気持ちが込められています。相手から大切に扱ってもらっていることが伝わったなら、その気持ち以上に相手を大切にしましょう。
言葉遣いは心遣いの表れです。人を大切にする人の周りには、自然と人が集まります。人が集まる場所は繁栄し、逆に人を大切にしない場所には、似たような人々が集まるものです。
そのため、さらなる発展を望むのであれば、言葉遣いや心遣いを見直すことが大切です。
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