「駆け出し」とは、仕事を始めたばかりで経験が浅い人を指す言葉です。この表現は、初心者や未熟者を謙遜して伝える際に使われることが多く、特にビジネスシーンでよく見かけます。
新しい環境での自己紹介や挨拶時に使うことで、自分の若さや初々しさをアピールし、相手に良い印象を与えることができます。しかし、使い方には注意が必要です。
過度に「駆け出し」を強調すると、相手に頼りない印象を与えたり、仕事の完成度を低く見られる恐れもあります。
この記事では、「駆け出し」の意味や使い方、注意点を紹介し、実際のビジネスシーンでどのように活用すべきかを考えます。
「駆け出し」の意味
「駆け出し」という言葉の意味は、
仕事を始めたばかりで 経験が乏しいこと、またはそのような人を指します。
何かを始めたばかりの初心者や まだ経験が浅い者などに使われます。
自分でこの言葉を使う場合は 謙遜の意味を込めて使うことが一般的です。
かつて、修行を終えた山伏が 山を下りることを「かけいで」や「かけで」と呼び、 山から出たばかりという意味で「駆け出し」という言葉が生まれたと言われています。
この言葉は初心者や未熟者を意味することが多いですが、
その具体的な期間や年数については 明確な基準はありません。
「駆け出し」の使い方
「駆け出しですが」という表現は、
ビジネスシーンでは主に
「新人」「経験が浅い」「未熟」といった意味で使われます。
特に先に触れたように、
経験豊富な先輩に自己紹介をする際に
よく使われます。
「駆け出し」は「ご指導ご鞭撻」
と共に挨拶の言葉として使われることが多いです。
「ご指導ご鞭撻」の意味は、
目上の方から自分に対する
指導や助言をお願いするという意味です。
この言い回しは相手に敬意を払った表現となります。
「駆け出し」のNG例
- 駆け出しですので、何でもお任せください。
- (取引先などで)駆け出しのため、何も分かりません。
- 駆け出しですが、恐れ入りますが…
- 駆け出しでして、今月は忙しくて…
- 駆け出しですが、お手を煩わせてしまい…
- 駆け出しが本当は言いたくないのですが…
- 駆け出しのため、ご希望にお応えできず…
このような使い方は避けましょう。
「駆け出し」という言葉は、 相手に不安感を与えることがあるので注意が必要です。
謙遜の気持ちや若さ、初々しさを表現する一方で、
「駆け出しですが」と使うと 場合によっては相手に頼りない印象を与えてしまうことがあります。
やはり、経験豊富な人に担当してもらった方が安心感を持たれるのは 言うまでもありません。
場面をよく考えたうえで使うべき言葉です。
「駆け出し」のお勧め文例20選
「駆け出し」を使ったおすすめの例文と、それが適している場面をご紹介します。
挨拶
自己紹介で謙遜を込めて「駆け出し」を使うケースです。
- この度、入社いたしました佐藤と申します。駆け出しではございますが、皆様の支えを受けながら日々成長していきたいと考えております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
- 今月より貴社の担当をさせていただくことになりました山田と申します。駆け出しではございますが、精一杯努めさせていただきます。不慣れな点もあるかと思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 経験の浅い駆け出し者ではありますが、与えられたチャンスを全力で活かしていきたいと考えております。
- 駆け出しの私ですが、やる気だけは誰にも負けない覚悟を持っています。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
- 社会人としての厳しさを痛感する毎日ですが、駆け出しではありますが御社の成長に貢献できるよう精一杯努力いたします。
- まだまだ駆け出しの私ですが、何卒ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
- 駆け出しの私がご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、皆様のご指導を仰ぎながらご当地発展に貢献できるよう努力いたします。
- 駆け出し者でございますが、今後とも何卒ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
- この度、赴任させていただきました田中です。駆け出しではありますが、皆様に支えられながら精一杯成長していきたいと存じます。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
- 本日、営業部に配属された松本です。駆け出しではありますが、何卒よろしくお願いいたします。
接待などのお礼
取引先や上司からのお誘いに対して使える「私のような駆け出しにはもったいない」という表現です。
- 昨晩は私のような駆け出しにもったいない素晴らしい食事会にお招きいただき、誠にありがとうございます。
- 先日は、私のような駆け出しには縁遠い素晴らしい料亭で食事をさせていただきました。とても勉強になり、心より感謝しております。
- 昨晩は私のような駆け出しには縁のない割烹料亭で素晴らしい食事を楽しませていただきました。また、社内では聞けない貴重なお話も伺え、大変勉強になりました。お礼申し上げます。
- 本日は私のような駆け出しをこのような素晴らしい席にお招きいただき、誠にありがとうございます。感激のあまり言葉が出ません。
- 今回、私のような駆け出しが先輩方の集まりに参加できたことを嬉しく思います。皆様のお話を伺うことができ、大変勉強になりました。このような機会があれば、また是非お誘いください。
部下など目下の紹介
「駆け出し」を部下や後輩を目上の方に紹介する際に使うことができます。謙虚なニュアンスが伝わります。
- 彼はまだ駆け出しですが、仕事に対する情熱は誰にも負けません。どうかご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
- 彼女は駆け出しではありますが、私がしっかりサポートいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
- 高橋は駆け出しのため、至らない点も多いかと思いますが、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。
- 佐々木は駆け出し者でございますので、今後とも折に触れてご指導いただけますようお願い申し上げます。
- 井上は駆け出しで至らない点もございますが、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
「駆け出し」の類語表現
「駆け出し」に似た意味を持つ表現をいくつかご紹介します。
未熟者
「未熟者」は、 「技術や知識が十分に身についていない者」を指します。
「駆け出し」と同じく、 謙遜の気持ちを込めて使う場合に適しています。
- 「未熟者でございますので、ご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。」
- 「なにぶんにも未熟者ですので、折に触れていろいろとご指導いただけますようお願い申し上げます。」
青二才
「青二才」は、 若くて経験が乏しい男性を指す言葉で、時には軽蔑的に使われることもありますが、謙遜を込めて使う場合もあります。
通常、男性のみが使います。女性は使用しません。
- 「青二才ではありますが、やる気だけは誰にも負けません。」
- 「まだまだ青二才ですが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
その他の表現
自分の経験が浅いことを伝えるための他の表現もあります。状況や相手によって使い分けると良いでしょう。
- 至らぬ点もございますが
- 右も左もわかりませんが
- 不束者ですが
- 新米ですが
例文:
- 「至らぬ点もございますが、今後ともよろしくお願いいたします。」
- 「まだ右も左もわかりませんが、ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。」
- 「不束者ではございますが、何卒ご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。」
- 「新米ではありますが、しっかり学びますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
まとめ:「駆け出し」を営業職がどう使うべきか
基本的には、
新人が経験豊富な先輩に自己紹介をするときに使われる表現です。
若さや初々しさ、謙遜を表す言葉として
良い印象を与えることができます。
ただし、いくつか注意すべき点もあります。
重要なのは、自己紹介で自分の第一印象を
マイナスにしないようにすることです。
例えば、「駆け出しなので大目に見てください」や
「駆け出しなので不完全な点をお許しください」といった言い方が
ネガティブに受け取られたり、甘えが見えると
逆効果になりかねません。
「駆け出しだからこそ、未完成な仕事をしても許されるだろう」
という誤解を招くこともありますが、
これは非常にもったいないことです。
少数派かもしれませんが、
「駆け出しだから」と軽んじられたり、
相手にされなくなるリスクもゼロではありません。
どんなに経験が浅くても、ビジネスの場はプロ同士のやり取りです。
自分の価値を下げるような言動を避け、堂々と自信を持って
仕事に取り組んでいくことが大切です。
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