敬語「おっしゃる」の正しい使い方と注意点とは?適切な場面で使用例文と間違った誤用表現

ビジネスで使える正しい日本語

「おっしゃる」の魅力と奥深さを知っていますか?

日本語には、相手に対する敬意を丁寧に伝えるためのさまざまな表現が存在します。その中でも、「おっしゃる」という言葉は、ビジネスや日常会話で頻繁に使われる重要な敬語です。

「おっしゃる」は、目上の人が発言する際に用いる尊敬語であり、適切に使うことで相手との信頼関係を深めることができます。しかし、この便利な表現も使い方を誤ると、相手に不快感を与えることになりかねません。特に「おっしゃられる」のような二重敬語や、場面にそぐわない使い方には注意が必要です。

本記事では、「おっしゃる」の正しい使い方や注意点をわかりやすく解説します。また、ビジネスシーンでの具体的な活用方法や、同義語との違いについても詳しく触れていきます。「おっしゃる」をマスターして、相手への敬意をより的確に表現できるようになりましょう。

さあ、この言葉の魅力を一緒に深掘りしてみませんか?

「おっしゃる」の意味と由来

「おっしゃる」とは、
「言葉にして伝える、表現する」という意味を持つ
「言う」の尊敬語です。
相手に敬意を込めて使う丁寧な表現として広く知られています。

この言葉は漢字で「仰る」と書きます。
「仰」という漢字は、
人が立ったり座ったり、時にはひざまずいたりする姿を表した図形が起源とされ、
そこから敬意や尊敬を含む意味が派生したと言われています。

ビジネスシーンでの「おっしゃる」の正しい使い方

「おっしゃる」は、「言う」の尊敬語であり、
相手に対して敬意を表す丁寧な表現です。
そのため、社内では上司、社外では取引先や顧客など、
目上の方に使うのが適切です。

また、「おっしゃるとおり」という表現も、
ビジネスの場で頻繁に使われます。
これは、相手の意見や指摘に賛同し、その正しさを認める意味を持ちます。

例えば、上司や取引先から注意やアドバイスを受けた際、
「おっしゃるとおりです」と伝えることで、
相手の言葉を受け入れていることを表すことができます。
さらに、その際には「申し訳ありません」などの反省や感謝の言葉を添えると、
誠実さがより伝わります。

「おっしゃる」は、主に相手の行為や発言について述べる際に用いられます。
そのため、自分の行為については使えません。

具体例:

  • 「部長のおっしゃる意見に賛同します。」
  • 「お客様がこのようにおっしゃいました。」

このように、「おっしゃる」は相手の「言う」という動作に対して使われる敬語です。
適切な場面で正確に使うことで、ビジネスシーンにおける信頼感や誠意を伝えることができます。

「おっしゃる」の間違った使い方と注意点

以下のような表現は、「おっしゃる」の正しい使い方とは言えません。

NG例

  • 社長はこのようにおっしゃられています。
  • 田中部長はそうおっしゃられたと伺っていますが。
  • (取引先で)弊社の佐藤課長はこうおっしゃっています。
  • (取引先で)上司のおっしゃる内容をそのままお伝えします。
  • 折り入っておっしゃっていただけますでしょうか。
  • 今日は率直なお気持ちをおっしゃりたいと思います。
  • 思わず私自身が感じたことをおっしゃってしまいました。

これらの例には誤った使い方が含まれており、
場合によっては相手に不快感を与える可能性があります。

1. 「おっしゃられる」は二重敬語

「おっしゃられる」という表現は、
「おっしゃる」という尊敬語に「られる」(尊敬を表す助動詞)を加えたものです。
このように、敬語が重なってしまう表現を「二重敬語」と呼びます。

二重敬語は、過剰でまわりくどく感じられるため、
丁寧に聞こえるどころか、かえって失礼に思われることもあります。

正しい表現:

  • 「おっしゃる」が適切な敬語表現です。
    例:
    ❌「田中社長がおっしゃられています。」
    ✅「田中社長がおっしゃっています。」

2. 取引先での上司に関する表現

「おっしゃる」は目上の人に使える敬語ですが、
取引先など外部の人に自社の上司について話す場合には注意が必要です。

自社の上司や同僚は「身内」に該当するため、
外部の人に対して敬語を使うことは適切ではありません。

正しい表現:

  • 「申しております」「申し上げております」などを使いましょう。
    例:
    ❌「弊社の山本部長がおっしゃるには~」
    ✅「弊社の山本部長が申しておりますには~」

ポイント

「おっしゃる」は非常に丁寧な敬語であり、
正しい場面で適切に使うことで相手に敬意を伝えることができます。
しかし、二重敬語や不適切な文脈での使用は、
逆に相手に違和感を与えることもあるため、慎重に使い分けましょう。

「とおっしゃいますと」の効果的な使い方

「おっしゃる」の基本を理解したところで、次に「とおっしゃいますと」の具体的な使い方を見ていきましょう。

会話の中で、相手の意図が曖昧だったり、話の要点が掴みにくいと感じる場面は少なくありません。
また、相手自身が自分の考えをうまく言語化できていなかったり、
本当の気持ちやニーズが整理できていない場合もあります。

そんなときに役立つのが「とおっしゃいますと」というフレーズです。

この表現を使うことで、相手の話の不明確な部分を丁寧に確認できます。
さらに、この一言がきっかけとなり、相手自身が頭の中を整理し、
考えがクリアになったり、新たな本音や要望を引き出すことができることも多いのです。

例えば、相手が漠然とした意見や希望を語っているときに「とおっしゃいますと?」と問いかけると、
その後の会話がスムーズに進むことがあります。

営業や接客などの場面では、こうしたフレーズを活用することで、
相手とのコミュニケーションをより深めることが可能です。

要点を捉えにくいと感じたとき、ぜひこのフレーズを使ってみてください。
特に営業の現場では、相手の隠れたニーズや本音を引き出すための強力なツールとなるでしょう。

「おっしゃる」を使ったおすすめ例文30選

「おっしゃる」という表現を活用した例文をご紹介します。
ビジネスや日常会話での参考にしてください。

  1. 「係長のおっしゃるとおり、あと一歩で目標に到達します。」
  2. 「申し訳ございません、おっしゃる意味をもう少し具体的に教えていただけますか?」
  3. 「ご夫婦で暮らしやすい家をとおっしゃいますと、平屋の住宅が良いかもしれません。」
  4. 「もっとリーズナブルな価格帯をとおっしゃいますと、ランクを下げたプランをご提案できます。」
  5. 「部長のおっしゃる意見には耳を傾けるべきです。」
  6. 「どうぞご遠慮なくおっしゃってください。」
  7. 「このたびはご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。お客様のおっしゃるとおりでございます。指導不足を深く反省しております。」
  8. 「今回の北海道旅行で食事を重視されるとおっしゃいますと、やはり海鮮料理がおすすめです。」
  9. 「部長がおっしゃった指示を基に進めていきましょう。」
  10. 「工事の進行については、現場責任者のおっしゃるとおりに進めます。」
  11. 「もっとコンパクトな車種をとおっしゃいますと、軽自動車がおすすめになりますが、いかがでしょうか。」
  12. 「山田様のおっしゃる内容は、十分理解いたしました。」
  13. 「部長のおっしゃるとおり、この件については意見を反映させていただきます。」
  14. 「部長のおっしゃるように、アフリカ市場の専任担当を設けるべきだと考えます。」
  15. 「お名前をなんとおっしゃいますか?」
  16. 「気になる点がございましたら、いつでもお気軽におっしゃってください。」
  17. 「高橋様のおっしゃることは、全くそのとおりだと感じます。」
  18. 「鈴木様とおっしゃる方が受付でお待ちです。」
  19. 「小中学校の通学圏内をご希望とおっしゃいますと、○○エリアが該当いたします。」
  20. 「この件に関しては、斉藤様のおっしゃるとおりだと思います。引き続きよろしくお願いいたします。」
  21. 「今回のプロジェクトの方針は、部長のおっしゃるとおりにさせていただきます。」
  22. 「現状の体制で生産を増やすとおっしゃいますと、どこかの工程を見直す必要があるかと思われます。」
  23. 「まさにおっしゃるとおりでございます。」
  24. 「社長が日頃おっしゃっているのは、『お客様第一』の姿勢を忘れないことです。」
  25. 「何かお気づきの点がありましたら、いつでもおっしゃってください。」
  26. 「田中様のおっしゃるとおりです。大変申し訳ありません。ただ、コストの関係でこれ以上の値引きは難しい状況です。」
  27. 「先生がおっしゃった『努力を続けなさい』という言葉が励みになりました。」
  28. 「北向様のおっしゃるとおりでございます。ご迷惑をお掛けし誠に申し訳ございませんでした。今後はそのようなことのないよう検品作業を徹底いたします。」
  29. 「そこまでおっしゃる理由について、詳しくお伺いできますか?」
  30. 「花村様のおっしゃることは、よく理解できました。」

「おっしゃる」と同じ意味を持つ表現

「おっしゃる」にはいくつかの同義語があり、
その中には「仰せ」「お伝えする」「言われる」などがあります。
どれも「言う」の尊敬語に該当しますが、それぞれに微妙な違いがあります。
ここでは、それぞれの意味と使い方を解説し、「おっしゃる」との違いを見ていきましょう。

1. 「仰せ」

「仰せ」は、「お言葉」「ご命令」「お言いつけ」といった意味を持つ表現です。
「おっしゃる通り」と似た表現として「仰せの通り」が挙げられます。
これは「お言葉の通り」「ご命令の通り」といった、より格式の高い場面で用いられます。

例文:

  • 「仰せの通りに対応いたします。」
  • 「その件については仰せつかりました。」

「仰せ」は、相手の地位や立場が高い場合や、
特に丁重な表現が求められる場面で使うのが適切です。


2. 「お伝えする」

「お伝えする」も「言う」を丁寧にした表現ですが、
主語や文脈が異なります。

「おっしゃる」の場合、主語は目上の人や取引先など敬う相手ですが、
「お伝えする」は、主語が自分自身であることがほとんどです。

例文:

  • 「ご挨拶をお伝えしたいと思います。」
  • 「先日お伝えした内容をご確認ください。」

「お伝えする」は、自分が敬意を持って何かを言う、または伝える場合に適しています。

3. 「言われる」

「言う」を尊敬語にした表現ですが、「おっしゃる」と比べるとややカジュアルな印象を与えます。
ビジネスの場面では、「おっしゃる」の方が丁寧で適切な場合が多いです。

例文:

  • 「部長が言われたことを確認しました。」
  • 「お客様がそう言われたのですね。」

ただし、特定の状況によっては「言われる」も十分使用できますが、
迷ったときは「おっしゃる」を選ぶ方が無難です。

ポイント

「おっしゃる」とその同義語は、使う場面や相手によって微妙な使い分けが求められます。
「仰せ」はより丁寧でフォーマルな場面に適しており、
「お伝えする」は自分が主体となる表現に用いられます。
一方、「言われる」は場合によって使うことができるものの、
より丁寧さが求められる場面では「おっしゃる」を選ぶのが一般的です。

まとめ:「おっしゃる」をビジネスで活用する方法

「おっしゃる」という表現は、
目上の方が発言する際に敬意を持って用いられる言葉です。
ビジネスシーンでは上司や取引先とのやり取りで頻繁に使われるため、
その使い方を正しく理解することが重要です。

特に、「申し上げる」との違いや、
誤って「おっしゃられる」といった二重敬語を使用しないよう注意が必要です。

「言葉は生き物」と言われるように、
日々のコミュニケーションにおいて言葉は欠かせないツールです。
その中でも、「おっしゃる」は敬意を伝えるシンプルかつ洗練された表現です。

ただし、敬語は使い方次第で堅苦しく感じられることもあるため、
状況に応じて自然に取り入れることがポイントです。

「おっしゃる」を適切に使いこなすことで、
相手への敬意が伝わり、より良いコミュニケーションを築くことができます。
この便利なツールを活用して、円滑な対話を目指してみてください。

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