「お手数ですが」の意味と正しい使い方とは?適切な場面の敬語表現例文とNGな誤用例文

ビジネスで使える正しい日本語

「お手数ですが」というフレーズは、日常的に多くの場面で使用される丁寧な表現のひとつです。

しかし、その使い方を正しく理解している人は意外に少ないかもしれません。この言葉にはどんな意味が込められているのでしょうか?また、どのように使うことで相手に良い印象を与え、効果的にコミュニケーションを進められるのでしょうか?

本記事では、「お手数ですが」の意味や使い方のポイント、注意すべき誤用例に加え、類語表現や営業シーンでの活用方法についても詳しくご紹介します。

正しい使い方をマスターして、より洗練された言葉遣いを身につけましょう。

「お手数ですが」の意味とは?

まず、「お手数ですが」の意味を見てみましょう。

「手数」という言葉には、次のような意味があります。

  • それに必要な手段や方法の数
  • 他人のために特別に尽力すること

簡単に言うと、「お手数」というのは「手間」を指す言葉です。

例えば、「手数のかかる仕事」という表現は、時間や労力が必要な仕事を意味します。また、「多い」という表現を使わなくても、面倒で労力がかかることを示すニュアンスも含んでいます。

「お手数ですが」の使い方

依頼やお願いの際に使う表現

「お手数ですが」は、何かをお願いする際に使われるフレーズです。

例えば、「お手数ですが、伝言をお願いできますか?」と言えば、「手間を取らせてしまい申し訳ないですが、伝言をお願いしたい」といった意味になります。

また、メールの返信を求める時にも「お手数ですが、ご返信をお願いいたします」といった形で使用されます。

「お手数ですが」はクッション言葉としても活用される

依頼やお願い以外にも、「お手数ですが」はクッション言葉として使われます。

クッション言葉とは、何かを頼んだり、断ったり、反論したりする際に前置きとして使う言葉で、相手に配慮や思いやりを示す役割を果たします。これにより、言いづらいことも伝えやすくなります。

クッション言葉を使うことで、相手に対して丁寧な印象を与えることができますが、使いすぎには注意が必要です。

「お手数ですが」の誤用例

以下のような使い方は誤りです。

  • お手数ですが、鈴木様、企画書は今日中に作成します。
  • お手数ですが、佐藤さん、この書類のコピーは私がやっておきます。
  • お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします。
  • 今週も出張でお手数をおかけしますね。
  • 田中課長の命令にはお手数をおかけさせられました。
  • 誠にお手数ですが、恐れ入りますが…
  • 恐れ入りますが、皆様にはお手数をおかけします。

これらの使い方は誤用です。

自分に対しては使えない

「お手数ですが」は、相手に対して使う表現ですので、自分に対しては使ってはいけません。

例えば、「お手数ですが、今週中に提出します」という言い回しは、「自分が相手のために手間をかけている」という意味になるため誤用です。

自分に対して使う場合は、次のような言葉を使うと適切です。

  • 「恐れ入りますが」
  • 「申し訳ありませんが」
  • 「お急ぎのところ大変恐縮ですが」

「お手数かけさせる」の使用はNG

「お手数ですが」を言い換える際に「お手数をかけさせる」という言い回しを使う人がいますが、これは誤りです。

「させる」を付けても、丁寧な表現にはなりません。「お手数をかけさせる」は回りくどくなるだけでなく、相手への敬意を十分に表すことにはなりません。

「お手数ですが」のお勧め文例30選

  • 「お手数ですが、書類を返送していただけますでしょうか。」
  • 「お手数ですが、会議の時間変更について再度ご連絡いただけますようお願いいたします。」
  • 「誠にお手数をおかけしますが、必要事項をご記入の上、同封の封書にて返送をお願いいたします。」
  • 「お手数ですが、月内に書類を提出いただけますようお願い申し上げます。」
  • 「お手数をおかけしますが、先日の件について再度お知らせいただけますようお願いいたします。」
  • 「お手数おかけしますが、近日中にお伺いしてもよろしいでしょうか。」
  • 「お手数ですが、伝言をお願い申し上げます。」
  • 「お手数をおかけして申し訳ございませんが、提案の件についてご検討のほど、よろしくお願いいたします。」
  • 「お手数ですが、こちらの電話番号まで折り返しのお電話をお願いいたします。」
  • 「先日の会議におきましては、お手数をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。」
  • 「お手数ばかりおかけして申し訳ございませんが、引き続き弊社のシステム更新手続きをしていただけないでしょうか。」
  • 「ご多忙のところ、お手数をおかけして恐縮ですが、先日の会議資料をお送りいただけますか。」
  • 「お手数ですが、問診票にご記入いただき、待合室でお待ちください。」
  • 「お手数ですが、3月15日までに総務課の田中までご都合をお知らせください。」
  • 「誠にお手数をおかけしますが、同封の書類の太枠内に自署捺印の上、ご返送くださいますようお願い申し上げます。」
  • 「お手数ですが、月内に書類の提出をお願い申し上げます。」
  • 「お手数をおかけしますが、至急お返事いただければ幸いです。」
  • 「ご多忙の折、お手数をおかけして恐縮ですが、弊社の50周年記念式典にてスピーチをお願いできないかとお手紙を差し上げた次第です。」
  • 「お手数ですが、書類を返送していただけますでしょうか。」
  • 「お手数おかけしますが、出欠のご連絡をお待ちしております。」
  • 「つきましては、お手数ですが、決定事項を回覧していただけますようお願い申し上げます。」
  • 「イベントの件ですが、お手数ではございますが、ご協力いただけますと幸いです。」
  • 「つきましては、お手数ですが、各部署の朝礼で連絡をしていただけますようお願い申し上げます。」
  • 「お手数ですが、明日のプレゼン資料をお目通しの上、お返事いただければ幸いです。」
  • 「つきましては、お手数ですが、期日までに書類を返送していただけますようお願い申し上げます。」
  • 「受注した製品に不具合が発生しています。お手数ですが、調査をお願いできますでしょうか。」
  • 「お手数おかけしますが、月内に書類を提出いただけますようお願い申し上げます。」
  • 「ご多用中お手数をおかけしますが、新製品の資料をお願いできないかとメールを差し上げた次第です。」
  • 「お手数ですが、伝言をお願い申し上げます。」
  • 「上記の日程で差し支えなければ、大変お手数ですが、ご都合のよい日程をお知らせいただければ幸いです。」

メールでの使用例

「お手数ですが」を使ったメールの事例を以下にご紹介いたします。

まずはアポイントの依頼です。

アポイントの依頼

件名:貴社訪問面談のお願い(氏名)

株式会社ABC 総務部 佐藤 部長

平素は大変お世話になっております。 株式会社XYZの山田でございます。

この度は、貴社訪問面談のお願いのため、メールをお送りさせていただきました。 訪問の目的は、弊社の新システム「123」のご紹介です。

必ずや貴社のお役に立てるシステムであると自信を持っております。 訪問面談の日程につきましては、可能な限り部長様のご都合に合わせて調整いたします。

お忙しいところお手数をおかけしますが、 ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

ーーーーーーー
メール署名
ーーーーーーー

次は打ち合わせ日程の依頼です。

打ち合わせ日程の依頼

メール件名:打ち合わせ日程のご案内(氏名)

株式会社DEF
営業部
田中 様

お世話になっております。 株式会社XYZの鈴木です。

この度は、弊社との打ち合わせの時間をお取りいただき、誠にありがとうございます。

ご連絡いただいた日程に関しまして、以下の時間で伺うことができます。 お手数ですが、日時をご指定いただけますと幸いです。

○月○日(○)10:00~
○月△日(△)15:00~
○月×日(×)13:00~

お忙しいところ大変恐れ入りますが、
ご連絡のほどよろしくお願いいたします。

ーーーーーーー
署名
ーーーーーーー

「お手数ですが」の類語表現

「お手数ですが」や「お手数をおかけしますが」の類語表現をいくつかご紹介します。

恐縮ですが

「お手数ですが」を言い換える際に使える表現の一つが「恐縮ですが」です。この表現は、何かをお願いする際に、頼むことに対してとても恐縮している気持ちを伝えることができます。

「恐縮ですが」を使った例文:

  • 「誠に恐縮ですが、もう一度確認させていただけますでしょうか。」
  • 「大変恐縮ですが、週末までにお返事をいただければ幸いです。」
  • 「恐縮ですが、今しばらくお待ちいただけますでしょうか。」

「お手数ですが」と同じように、依頼する際に使える敬語表現であり、非礼を詫びる意味も含まれます。

申し訳ございませんが

「申し訳ございませんが」は、謝罪の気持ちを込めて依頼する表現です。本来自分が果たすべきことを何らかの事情で目上の方にお願いしなければならない時に使います。

「申し訳ございませんが」を使った例文:

  • 「申し訳ございませんが、資料の閲覧をお願いできますか?」
  • 「大変申し訳ございませんが、明日でないと対応できません。」
  • 「申し訳ございませんが、再度訂正をお願い申し上げます。」

ご迷惑かとは存じますが

「ご迷惑かとは存じますが」は、相手にお願いすることで手を煩わせてしまうことを自分が理解しているという表現です。自分を低くし、相手を立てた丁寧な言い回しです。

「ご迷惑かと存じますが」を使った例文:

  • 「ご迷惑かと存じますが、お引き受けいただけますでしょうか。」
  • 「ご迷惑かと存じますが、月内に間に合わせることは可能でしょうか。」
  • 「大変ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。」

まとめ:「お手数ですが」を営業マンはどう活用するか?

「お手数ですが」や「お手数おかけしますが」は、目上の方にも使える便利な表現です。さまざまな場面で活用できるため、とても使いやすい言葉です。

「お手数ですが」や「お手数おかけしますが」を使うと、人に何かを頼む際や、少し手間をかけてしまいそうなときに、柔らかい印象でお願いすることができます。

何かを頼まれる立場の人は、頼んだ側の対応を見ているものです。こちらの気持ちや態度が言葉に反映されます。

ただし、使い過ぎに注意しながら、上手にクッション言葉を使うことで、コミュニケーションがより円滑に進みます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました