「すべからく」の意味と正しい使い方の注意点とは?誤用例と適切な使用場面での例文

ビジネスで使える正しい日本語

日本語には、日常的に使われる一見難しそうな言葉がたくさんあります。

その一つが「すべからく」です。皆さんも何気なく耳にしたことがあるかもしれませんが、この言葉が本来持っている意味をきちんと理解している人は少ないのではないでしょうか。

実は、「すべからく」とは、非常に深い意味を持つ言葉です。ここでは、その由来や正しい使い方を知り、誤用を避けるためのポイントを一緒に学んでいきましょう。

「すべからく」の意味

「すべからく」とは、簡潔に言えば「当然」「すべきこと」という意味です。丁寧に言い換えると「当然として~すべきこと」という解釈になります。

この言葉は、動詞「する」を意味する「す」と、推量を示す助動詞「べし」が組み合わさった「すべし」が、古語法(ク語法)を通じて「すべからく」と変化したものだと言われています。

ク語法とは、例えば「思はく」や「願はく」のように、語尾に「く(または らく)」を加えることで、全体が名詞化される用法です。当初、「するべきこと」といった名詞として使われていたものが、ク語法によって副詞となり、次第に「当然である」「ぜひとも」という意味で使われるようになりました。

また、「すべからく」は漢字で書くと「須く」となります。この表記が使われるようになったのは、漢文の訓読で「順、応」を「すべからく~べし」と読む習慣から来ていると言われています。

少し難しい話ですが、「すべからく」の本来の意味を理解して使うことで、その言葉に重みが増すので、覚えておくと良いでしょう。

「すべからく」の使い方

次に、「すべからく」の使い方について、いくつかの例文を通して見ていきましょう。

「すべからく」は「すべき」「べし」と一緒に使う

「すべからく」は誤用されやすい言葉の一つですが、使い方のポイントをしっかり理解すれば、正しくスムーズに使用することができます。

基本的に「すべからく」は、「当然のこととして、何かをすべきである」や「然るべく、何かをする必要がある」という意味合いで使われます。そのため、文章の後ろに「すべき」や「すべし」、あるいは「必要である」などが続くことが多いです。

職場の提案や成果を振り返る場面などでも、「すべきだ」や「すべし」といった表現がよく登場します。

誤解されやすい意味…「すべからく」は「すべて」ではない!

「すべからく」はしばしば「すべて」という意味だと誤解されがちです。例えば、広辞苑にも載っている例文「学生はすべからく勉強すべきだ」を見てみましょう。これを「学生は全員勉強するべきだ」と解釈する人も少なくありません。

実際、2010年に実施された「国語に関する世論調査」では、38.5%の人が「すべからく」を「全て、皆」という意味で誤解していることがわかりました。

しかし、「学生はすべからく勉強すべきだ」の正しい意味は「学生なら当然勉強すべきだ」となり、「学生なら全員勉強するべきだ」と解釈しても大きな意味の違いが生じるわけではありません。それでも「すべからく」が「すべて」という意味ではないことは理解しておくべきです。

「すべからく」のお勧め文例30選

以下に「すべからく」を使った文例をいくつかご紹介します。

  • 妊婦はすべからく自分の体調に配慮すべきだ。
  • 年長者にはすべからく敬意を払うべきだ。
  • 学生はすべからく学問を第一に考えるべきだ。
  • 友人関係はすべからく大切にしなければならない。
  • 企業の人材育成においては、すべからく教育制度を整備するべきだ。
  • 投資家はすべからく市場の動きに注目すべきだ。
  • 芸術家はすべからく鋭い感受性を持っているべきだ。
  • 親はすべからく子供に良い模範を示すべきだ。
  • スポーツチームはすべからくフェアプレー精神を大切にすべきだ。
  • 男性はすべからく頼りがいのある存在であるべきだ。
  • 成功するためにはすべからく努力を惜しまないべきだ。
  • 上司への報告は、日々すべからく行うことが大切だ。
  • もしこちらに非があるなら、すべからく謝罪すべきだ。
  • 春になったら、すべからく桜が満開の場所に行くべきだ。
  • 知識は人間にとってすべからく価値あるものであるべきだ。
  • 男性はすべからく頼りがいのある存在であるべきだ。
  • 教師はすべからく感情を排除して公平に指導すべきだ。
  • 行動するべきかどうかは別として、心温まる接客が求められるべきだ。
  • 重要な会議があるため、すべからく早めに帰宅すべきだ。
  • 企業の人材育成では、すべからく研修制度を導入するべきだろう。
  • 若者はすべからく冒険心を持って挑戦すべきだ。
  • 社会問題に取り組むことは、すべからく国民のために行うべきだ。
  • 投資家はすべからく市場動向を注視すべきである。
  • 女性はすべからく気品を保つべきだ。
  • 上司への報告は、毎日すべからく行う必要がある。
  • 学生はすべからく勉学に励むべし。
  • 子どもはすべからく暖かい家庭で育つべきだ。
  • 友人はすべからく大切にすべきだ。
  • 交渉を進めるべきかどうか、取引先との関係で判断が必要だ。
  • 大人として、すべからく責任を持って行動すべきだ。

「すべからく」の誤った使い方

  • ある有名バンドのアルバムはすべからく所持している。
  • 今日の昼食はすべからくお気に入りの料理が揃っている。
  • すべからく大変申し訳ありません。
  • 今日の仕事はすべからく終了した。
  • トーナメントでは健闘したものの、すべからく敗北に終わった。
  • 好きな俳優はすべからく魅力的だ。
  • 会社の経営はすべからく社長に任されている。

このような表現は誤用です。

「すべからく」の類義語表現

「すべからく」を使うと、確かに高い知識や慎重な印象を相手に与えることができますが、誤った使い方をすると、逆に不適切に感じられてしまうこともあります。

そのため、誤用を避けるために、「すべからく」の類語を使用することをおすすめします。

「すべからく」の類義語としては、「必ず」「当然」「無論」などがあります。

これらの言葉は、文中で「すべからく」と置き換えても、自然に意味が伝わり、違和感を感じません。

「すべからく」をどうしても使いたい場合には、「必ず」「当然」「無論」で代用してみて、意味が通じるか確認するのも一つの方法です。

「すべからく」ビジネスマンの正しい使い方

「すべからく」を誤用することは非常に多いです。実際、約4割の人がその本当の意味を理解せずに使っているというのが実情です。

テレビや新聞などのメディアでは、通常正しく使われていますが、カジュアルな会話やビジネスメールなどで「すべからく」を「すべて」という意味で使っているのを見かけることがあります。

日本語は正しく使うことでその美しさが際立ちます。この記事を読むまで正しい使い方を知らなかった方も多いでしょう。今後は、ぜひ正しい意味で「すべからく」を使ってみてください。

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