人間関係を円滑に築くうえで、相手の好意を「断る」という行為は意外と難しいものです。特に、上司や先輩、取引先の担当者など目上の方から「ごちそうするよ」と言われた際、ただ断るだけでは「せっかくの好意を踏みにじる」「相手の顔をつぶす」などマイナスなイメージを与えてしまう可能性があります。
そこで役立つのが、「かえって気づまりですから」というフレーズです。この言葉を使うことで、相手への感謝や敬意を示しながら、さりげなく申し出を辞退することが可能になります。本記事では、このフレーズの意味や使い方、そしてビジネスシーンでの注意点などを掘り下げてご紹介します。
「かえって気づまりですから」の意味
「かえって気づまり」とは、好意や行為を受け取ることで却って気まずさや窮屈さを感じてしまう状況を指し示す言い回しです。たとえば、上司や先輩が「おごるよ！」と積極的に提案してくれたとしても、その場がどうにも落ち着かなくなり、自由に会話できなくなるような気持ちになるケースがあります。そのときにこのフレーズを使えば、
「ご好意はとてもありがたいのですが、かえって気づまりですから…」
という形で、相手の厚意を尊重しながらも、自分の懐具合で支払うことを選択できるわけです。言葉のポイントは“感謝を伝える＋軽やかに断る”という2点に集約されます。
こんなシーンで使える！
「かえって気づまりですから」は、おごりの申し出に限らず、いろいろなシチュエーションで活用可能です。たとえば：
- 上司や先輩からいつも奢られているとき
「毎回好意を受け取るのはありがたいけれど、そろそろ申し訳ない…」と感じたとき。 - 取引先から過剰な接待を受けそうなとき
「あまりにも高級なお店に連れて行かれても落ち着かない…」と感じる場合。 - 仲の良い友人からの特別扱いがつらいとき
「特別に優遇されると返って気まずいから、平等に割り勘にしてほしい…」というとき。
このように、多くの場面で「負担が大きい」「かしこまりすぎてしまう」「申し訳なくて落ち着かない」という気持ちを上手に伝えられる言葉として重宝します。
「かえって気づまりですから」のNG例
以下のような使い方は文脈や状況と合わないため避けましょう。相手に誤解を与えてしまう場合があります。
- 「かえって気づまりですがごちそうさまでした。」
- 「かえって気づまりですからここで失礼します。」
- 「こんなにしていただくとかえって気づまりです。」（そのまま断らず承諾しているのに何となく嫌味な印象）
- 「かえって気づまりなので散会しましょう。」
ポイント：
相手への感謝や敬意を一切示さず、「かえって気づまり」という言葉だけを放ってしまうと、むしろ相手に不快感を与えることも。あくまでも丁寧な前置きと礼節を伴いながら使うのがコツです。
「かえって気づまりですから」おすすめ例文20選
ここからは、実際のビジネスシーンやプライベートシーンで使える例文を紹介します。
- 「先輩のご厚意は本当に嬉しいのですが、かえって気づまりですから今回は割り勘にしていただけないでしょうか。」
- 「以前に何度もご馳走になっておりますので、今度は私が払わせてください。そうでないとかえって気づまりですから…。」
- 「社長のご提案に感謝いたします。ただ、これ以上頂いてしまうとかえって気づまりですから、お気持ちだけありがたく頂戴します。」
- 「無料招待はたいへんありがたいのですが、周囲の目を気にしてしまいかえって気づまりですから、今回は通常通りの参加費をお支払いしますね。」
- 「ご配慮はありがたいのですが、弊社では過度な接待を受けるとかえって気づまりですから遠慮させていただいております。どうかお気を悪くなさらないでくださいね。」
- 「せっかくのお誘いをお断りするのは心苦しいのですが、あまりにご厚意が大きいとかえって気づまりですから、いつも通りでお願いできませんか。」
- 「御社の懇親会に特別にご招待いただき、誠にありがとうございます。ですが、私だけ特別扱いとなるとかえって気づまりですから、ぜひ会費は受け取ってください。」
- 「大森部長のお気遣い、本当に感謝しています。ただ、あまりに豪華だとかえって気づまりですから少しお店を変えていただけると助かります。」
- 「お気持ちには感謝しかありませんが、このままですとかえって気づまりですから、割り勘でお願いしてもよろしいでしょうか。」
- 「いつもおごっていただいてばかりですので、さすがにかえって気づまりですから、今日はぜひ私に払わせてください。」
- 「特別価格で提供いただけると伺いましたが、他のお客様に申し訳なくかえって気づまりですから、正規料金で構いませんよ。」
- 「当社では昨年から接待をすべて控える方針となりました。ご厚情は本当に嬉しいのですが、かえって気づまりですからお気持ちだけ受け取らせてください。」
- 「社員旅行の費用を立て替えてくださるということですが、ほかの社員もいるのでかえって気づまりですから、各自負担にさせていただけると幸いです。」
- 「プライベートでまでお気遣いいただくとかえって気づまりですから、この支払いは個人の財布で負担させてくださいね。」
- 「セミナー後の打ち上げに特別待遇で招待いただいたのですが、周囲の方に気を使わせそうでかえって気づまりですから、通常参加で大丈夫です。」
- 「お気持ちはうれしいのですが、あまりに盛大なお見送りはかえって気づまりですから、ひっそりとで十分です。」
- 「お気遣いいただくと恐縮ですし、かえって気づまりですから後日別の形でお返しさせてください。」
- 「こちらとしてはお気楽に楽しく飲みたいだけなので、逆に高級店に連れて行かれるとかえって気づまりですから、いつもの居酒屋で構いません。」
- 「担当者様にのみ特別優遇ということでしたが、そのような扱いはかえって気づまりですから、皆さまと同じ条件で参加いたします。」
- 「今後のお付き合いに影響してしまうといけませんので、どうか私のぶんも負担させてください。かえって気づまりですからぜひ受け取っていただきたいのです。」
ビジネスシーンでの注意点
- 1）相手の立場を考慮する
おごりを断ることが相手のメンツを損なう場合もあるので、状況や相手の性格次第では素直に感謝だけを伝える方が賢明なこともあります。 - 2）感謝の気持ちを必ず伝える
「ありがとうございます」「お気持ち大変うれしいです」といったフレーズを添えることで、断っても相手の印象を悪くしにくくなります。 - 3）場の空気を読む
周囲の人もいて、全員が「おごられる」前提なら、あえて一人だけ拒否してしまうと空気が悪くなる可能性があります。あくまでも「皆で楽しめる雰囲気かどうか」を見極めましょう。
「かえって気づまり」の類似表現
「かえって気づまり」というニュアンスをほかの言葉で表すと、次のような表現があります。
- 居心地が悪くなってしまう
- 気を遣いすぎて落ち着かない
- むしろ恐縮してしまう
- 逆に申し訳ない気持ちになる
- ぎこちなく感じる
これらを織り交ぜると、バリエーション豊かな言い回しが可能です。ただし、「かえって気づまりですから」という一言は端的で分かりやすく、相手に失礼になりにくいフレーズとして特に便利です。
まとめ
「かえって気づまりですから」は、相手の立場や思いやりを損なわずにおごりを断る（あるいは特別待遇を辞退する）ための表現として非常に便利です。ただし、多用しすぎると逆に相手を戸惑わせてしまう可能性もあるため、以下のポイントを押さえて使うようにしましょう。
- 必ず感謝の言葉を添える
「ありがとうございます」「お気持ちだけで十分うれしいです」など。 - 断る理由を端的に示す
「ちょっと居心地が悪くなってしまいそう」「かえって気づまりですから」など、一言で相手に伝わる表現を意識する。 - 場合によっては断らないほうが良いことも
ときには素直に厚意を受け取ったほうが、その後の関係がスムーズにいくこともあります。相手との関係性や空気感を大切にするのもビジネスパーソンの重要なスキルです。
ぜひこのフレーズを状況に応じてスマートに活用し、より良いコミュニケーションを築いてみてください。上手に立ち回ることで、自分自身も相手も心地よい関係性が維持できるはずです。
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