「ご多用中申し訳ありませんが…」という言い回しは、ビジネスシーンだけでなく日常会話にも浸透したフレーズです。特に仕事では、多くの場面で「相手が忙しい中、自分の依頼や相談に時間を割いてもらう」ことが求められます。そんなときに、相手への配慮を示しながら丁寧にお願いしたい場合に便利なのが「ご多用中申し訳ありませんが」です。
人間関係がスムーズにいくとビジネスの成果にも直結しやすいもの。人の手を借りなければ仕事は進みにくく、結果として良好なコミュニケーションが業務効率や成果に大きく影響します。そのため、メールや書類などの文章においても、言葉選びは非常に大切です。ここでは、「ご多用中申し訳ありませんが」という表現を中心に、正しい使い方や避けたいケースをまとめました。
1. 「ご多用」の意味と使い道
「ご多用」とは「ごたよう」と読み、「さまざまな用事があって忙しい状態」を丁寧に表す表現です。ビジネスメールや対面でのやりとりなど、目上の相手や取引先に対して「忙しいところ申し訳ありません」という気遣いの気持ちを示す際に活用されます。
「ご多用」の同義語としては「お忙しい」「ご多忙」「繁忙」なども挙げられます。いずれも「忙しい」様子を示す敬語ですが、場面や相手に応じて柔軟に使い分けるとよいでしょう。
2. 「ご多用中申し訳ありませんが」の使い方
基本のパターン
ビジネス文章や口頭の依頼でよく使用されるのは、
「ご多用中申し訳ありませんが、◯◯していただけますと幸いです。」
といった形です。相手が多忙であることを認めつつお願いをするので、へりくだりつつも要件をしっかり伝えられます。
丁寧な言い換え
「ご多用中申し訳ありませんが」は、「ご多忙の折恐縮ですが」「お忙しいところ恐れ入りますが」などにも置き換え可能です。「申し訳ありませんが」の箇所を「恐縮ではございますが」「大変恐れ入りますが」とアレンジすることで、さらにかしこまった印象を与えられます。
3. お願いや問い合わせでの活用
「ご多用中申し訳ありませんが」は、「何かをお願いする」「回答をもらう」「予定を確認する」など、幅広いシーンで重宝します。具体的には、以下のような場合です。
- 依頼するとき
「ご多用中申し訳ありませんが、ご対応いただけますでしょうか。」 - 確認や返信を求めるとき
「ご多用中申し訳ありませんが、ご連絡いただけますと助かります。」 - 出席や参加をお願いするとき
「ご多用中申し訳ありませんが、何卒ご参加いただきたく存じます。」
結びのフレーズとしてよく使われるのは、「ご検討いただければ幸いです」「ご確認いただけると助かります」のように、相手の意向を伺いつつ依頼を完結させる形です。
4. 避けたい使い方・NG表現
下記のような不自然な組み合わせや、本来の用途から外れた用法は注意が必要です。
- 「ご多用中申し訳ありませんがありがとうございました。」
- 「ご多用中申し訳ありませんがすみません。」
- 「お忙しいところ、ご多用中申し訳ありませんが。」
- 「ご多用中申し訳ありませんがいつもありがとうございます。」
これらは単に言葉をつなげただけで意味が重複する、あるいは結びが不自然になるケースです。「ご多用中申し訳ありませんが」は、相手に手間をかけさせる・時間をいただくときにこそ使う表現だと意識しておきましょう。
5. 他の敬語表現との併用
「ご多用」の代わりに「お忙しい」「ご多忙」、あるいは「申し訳ありませんが」の代わりに「恐れ入りますが」「お手数ですが」などを使うと、文章のバリエーションを増やせます。また「お手数をおかけしますが」は、相手に負担をかけるときの定番表現なので、「ご多用のところ大変お手数ではございますが、ご連絡いただければ幸いです」という組み合わせも非常に自然です。
「ご多用中申し訳ありませんが」の文例30選
バリエーション豊富な30例を挙げます。場面に合わせて応用してください。
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご教示いただけますと幸いです。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、今週中に見積書をお送りいただけないでしょうか。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご査収のほどお願い申し上げます。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、ご出席いただけますようお願い申し上げます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご回答いただければと存じます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、どうかご参加の方向でご検討いただけると助かります。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、ご連絡をお待ちしております。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご確認いただけますでしょうか。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、お時間を割いていただけると幸いです。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、何卒ご回答のほどお願いいたします。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、今週末までにご検討いただけますと助かります。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、来週の会議資料をご査収願いたく存じます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、どうかお取り計らいをお願いできますでしょうか。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、ご参加いただければ幸いです。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、改めてご紹介のお時間を頂戴できれば幸甚です。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、ご検討いただければと存じます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご検討いただけますでしょうか。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご教示のほどお願い申し上げます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご送付いただけましたらありがたく存じます。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、近日中にご返事をいただけますと幸いです。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご査収いただけますと助かります。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、ぜひご臨席いただきたく存じます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、何卒お聞き入れいただければ幸いです。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、後日改めてご都合を伺わせていただきます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、ご確認いただきますようお願いいたします。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、何卒ご対応のほどお願い申し上げます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、今週中にご送付いただければと存じます。」
- 「ご多用中申し訳ありませんが、万障お繰り合わせの上ご参加いただけますと幸甚です。」
- 「ご多用中大変申し訳ありませんが、来週のミーティングにどうかご出席くださいませ。」
7. 実例:営業メールでの使用例
営業職では、アポイント取りや日程調整などで「ご多用中申し訳ありませんが」を使うシーンが頻繁に訪れます。たとえば以下のようなメール例が考えられます。
件名:〇〇訪問のご相談
株式会社レイカス 代表取締役 山村様
先日は○○交流会での名刺交換に加え、貴重なお話の機会をいただきありがとうございました。
株式会社アルティアの松本と申します。
貴社の取り組みに大変興味を持ち、もう少し詳しくお伺いできればと存じます。
もし可能でしたら、来週あたりに1時間ほどお時間を頂戴できないでしょうか。
ご多用中申し訳ありませんが、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
―――――――――――――
署名(社名・連絡先など)
―――――――――――――
このように、相手が忙しいことを前提に「ご多用中申し訳ありませんが」と添えると、より一層丁寧な印象を与えられます。
8. まとめ
「ご多用中申し訳ありませんが」という言葉は、忙しい相手への配慮を込めながら依頼やお願いをするための優れたフレーズです。ビジネスシーンでは、お願いや問い合わせをする場面が特に多いため、この表現を上手に活用できるとやりとりが円滑になります。
ただし、使い過ぎるとワンパターンに映る可能性もあるため、「恐れ入りますが」「恐縮ですが」などの類似フレーズも上手に組み合わせながらバランスよく使い分けてみましょう。そうすることで、相手により好印象を与えながら、スムーズなコミュニケーションを図ることができるはずです。忙しい方々への尊重の気持ちを言葉に込め、人間関係を深めていく一助としてください。
コメント