「すでにお聞き及びのことと」とはどんな意味?正しい使い方を例文で解説!【※注意点や誤用表現も】

ビジネスで使える正しい日本語

ビジネスシーンでよく耳にする「すでにお聞きおよびのことと」という表現。実際に使う機会は多いものの、その正確な意味や使い方に迷ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

このフレーズは、単なる「知っている」という意味に留まらず、相手に対して敬意を表しながら、既に相手が知っているであろう事実を確認するために使われます。使いこなすことで、より丁寧で円滑なコミュニケーションを実現できますが、使い方を誤ると不自然に聞こえてしまうことも。

今回は、「すでにお聞きおよびのことと」の意味やその正しい使い方、注意すべきNG例について詳しく解説し、ビジネスパーソンとしてこのフレーズをどう活用すべきかを見ていきます。

「すでにお聞きおよびのことと」の意味

辞書で調べたところ、「聞きおよぶ」とは、

「相手が既に耳にしていることを、敬意を込めて表現する言葉」 と説明されています。

「聞きおよぶ」というのは、

「他の人から聞いて知っている」 「前々から知っている」 「すでに認識している」

という意味を持つ言葉です。

ただし、単に耳にしたということではなく、 「かなり前から知っている」という状態を指しています。

そのため、相手に対して、 「既にご存知かと思いますが」といった前置きとして使います。

「すでにお聞きおよびのことと」という表現は、このような意味合いで使用されるものです。

「すでにお聞きおよびのことと」の使い方

「お聞きおよび」という表現自体は敬語にあたりますので、「お聞きおよびのことと」という形で、ビジネスシーンでもよく使われます。

相手がすでに知っている事柄に関しては、通常「すでにお聞きおよびのことと存じますが」といった前置きが用いられます。以下にいくつかの例を挙げます。

例文:

  • 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、8月に私どもの人事異動がありました。新しく担当となりました白川でございます。」
  • 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、この度、〇〇への転任が決まりました。」

相手が既にご存じであることを前提にする場合、「すでにお聞きおよびのことと」は文の冒頭に置くことが一般的です。

メールでの文例

こちらは「閉店のお知らせ」の例です。

「すでにお聞きおよびのことと存じますが、弊社は9月末をもちまして、〇〇支店を閉店する運びとなりました。」

「平素よりご愛顧賜りました皆様には、何かとご不便をおかけすることとなり、心よりお詫び申し上げます。」

「なお、業務は近隣の〇〇支店などで継続しております。」

「今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。」

こちらは転任報告の例です。

「すでにお聞きおよびのことと存じますが、私、この度、転任することとなりました。」

「〇〇での在籍中は多大なご支援をいただき、深く感謝しております。新しい環境でも精進してまいります。」

「また、改めてご挨拶に伺いたく存じますので、まずはご報告をさせていただきます。」

製品不具合のお詫びの連絡例です。

「すでにお聞きおよびのことと存じますが、弊社のシステムに一部不具合が発覚し、リコール対応を行っております。」

「これにより、お客様に多大なご心配・ご不便をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。」

「リコールに関する詳細は後日ご連絡いたしますが、今後このような事態が発生しないよう十分に注意を払ってまいりますので、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。」

「すでにお聞きおよびのことと」のNG例

以下の使い方は誤りです。

  • その件についてはすでにお聞きおよびのことと、申し遅れました。
  • その件はすでにお聞きおよびのことと存じ上げており、恐縮です。
  • すでにお聞きおよびのことと存じますが、一言もありません。
  • すでにお聞きおよびのことと謹んでお慶び申し上げます。
  • すでにお聞きおよびのことと存じますが、つかぬことを伺いますが…
  • すでにお聞きおよびのこととおかげさまでございます。
  • すでにお聞きおよびのことと存じますが、ご無沙汰しております。

このような使い方は誤っており、「すでにお聞きおよびのことと」は、相手に対して使う敬語表現です。自分や自分側に対して使うのは避けるべきです。

また、「すでにお聞きおよびのことと」には、特に悪い知らせを切り出す前置きのイメージがあるため、ビジネスの場では注意が必要です。

何か話題となっている事案を伝える場合、「その件については拝聴しております」や「社長のご高名はかねがね伺っております」など、より丁寧で適切な表現を使うと良いでしょう。

「すでにお聞きおよびのことと」のお勧め文例30選

「すでにお聞きおよびのことと」の表現を使ったお勧め文例を、ランダムに並べてご紹介いたします。参考にしてください。

  1. 「すでにお聞きおよびかもしれませんが、赤井様が9月に異動されることとなりました。」
  2. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、株式会社ベストウェイは3月末をもって閉店する運びとなりました。」
  3. 「すでにお聞きおよびのことかと思いますが、弊社の新しいプロジェクトが来月からスタートします。」
  4. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、◯◯株式会社と重要な契約を結びました。」
  5. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、先日発表した新製品の売上が好調に推移しています。」
  6. 「すでにお聞きおよびかと存じますが、福田部長が来週から新しい役職に就任されます。」
  7. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、昨日の会議で決定された事項についてお知らせいたします。」
  8. 「すでにお聞きおよびのことと思いますが、弊社のA製品に関して一部不具合が発生しており、現在調査中です。」
  9. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、昨年発表された新しい業務方針に関して、今後変更がございます。」
  10. 「すでにお聞きおよびのことと思いますが、先週実施した社員研修について報告させていただきます。」
  11. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、井上さんが先月異動されましたので、新しい担当者は高田さんとなります。」
  12. 「すでにお聞きおよびかと思いますが、株式会社サンワが新たに海外展開を開始しました。」
  13. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、御社が新製品を発表された件、非常に注目されています。」
  14. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、福岡支店の移転が決まりました。詳細についてお知らせいたします。」
  15. 「すでにお聞きおよびかもしれませんが、来月から新しいシステムが導入される予定です。」
  16. 「すでにお聞きおよびかと存じますが、弊社の社員の行動に関して不適切な点があったことをお詫び申し上げます。」
  17. 「すでにお聞きおよびのことと思いますが、会議の日時が変更になりましたのでご確認ください。」
  18. 「すでにお聞きおよびかと存じますが、4月の売上が予想を上回り、非常に良好な結果となりました。」
  19. 「すでにお聞きおよびのことと思いますが、最新の業界ニュースについてお伝えいたします。」
  20. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、急なお願いですが、○○プロジェクトに関して再度確認をお願い申し上げます。」
  21. 「すでにお聞きおよびかと存じますが、弊社の新規事業がついに始動しました。」
  22. 「すでにお聞きおよびのことと思いますが、先週行われた取引先との会議結果について報告いたします。」
  23. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、社員の長期休暇に関する手続きが完了いたしました。」
  24. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、弊社の取り組んでいる環境問題への対応について進展がありました。」
  25. 「すでにお聞きおよびのことと思いますが、来月から新しいサービスを開始する予定です。」
  26. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、田中さんが今月で退職されます。」
  27. 「すでにお聞きおよびのことかと存じますが、営業部の新しい方針についての説明会が開催されます。」
  28. 「すでにお聞きおよびのことと存じますが、◯◯の社内イベントの詳細が決まりました。」
  29. 「すでにお聞きおよびかと存じますが、株式会社グリーンウェイが新たに製品ラインを拡充しました。」
  30. 「すでにお聞きおよびのことと思いますが、次回の会議の議題について改めてご連絡させていただきます。」

「すでにお聞きおよびのことと」の類義語・同義語

「聞きおよぶ」や「すでにお聞きおよびのことと」に関連する言葉には、似た意味を持つ表現がいくつかあります。状況に応じてこれらを使い分けることが、より適切な表現となります。

「聞きおよぶ」の同義語

  1. 「聞こえる」 こちらは、第三者からの情報を伝える意味で使われます。例えば、
    • 「先日お聞きしましたが…」
    • 「すでにお聞きしておりますが…」
  2. 「小耳にはさむ」 「小耳にはさむ」も「聞きおよぶ」と同じ意味ですが、こちらは少しカジュアルな表現です。親しい人同士の会話で使われることが多く、
    • 「小耳にはさんだんだけど…」 というように、軽いニュアンスで使います。
  3. 「お伺いする」 これも同様の意味を持ち、より正式な場で使われることが多い表現です。例としては、
    • 「すでにお伺いしておりますが…」
  4. 「拝聴する」 こちらも敬語の一つで、話を聞いたという意味で使います。例えば、ビジネスシーンでは、
    • 「すでに拝聴させていただいておりますが…」

これらの表現を適切に使い分けることで、より自然で丁寧なコミュニケーションができます。

まとめ:「すでにお聞きおよびのことと」営業マンとしてどう使うべきか

「すでにお聞きおよびのことと」の意味や使い方、例文、そして類語を紹介してきましたが、営業マンとしてこの表現をどのように活用すべきかについて考えてみましょう。

「すでにお聞きおよびのことと」は、相手が既に知っているであろう情報を前提にして、そのことを丁寧に確認する表現です。相手に敬意を示しつつ、すでに耳にしているであろう内容を伝えるときに使います。

また、このフレーズは、悪いニュースを伝えるときにも非常に有効です。相手が心の中で気づいているかもしれない、しかしまだ正式に伝えていない事実に触れる際に前置きとして使うことができます。たとえば、良くない事柄を伝えるとき、相手はおそらく「この話だろう」と予感し、覚悟を決めてその後の話を受け入れやすくなります。

過去にリーマンショックの際、保険業界が危機的な状況に直面したとき、私は契約者の方々に「すでにお聞きおよびのことと存じますが、保険契約についてはご心配いただくことはありません」と伝え、一件一件お電話で契約内容の確認を行いました。この表現を使うことで、相手が不安を感じる前に冷静に状況を共有することができました。

逆に、相手にとって予想外の不安な知らせを伝えなければならないときには、もっと丁寧に「まことに申し上げにくいのですが」と切り出すのが適切です。

ビジネスの現場で、あまり好ましくない話題を伝える機会は必ず訪れます。そんなときに「すでにお聞きおよびのことと」を使うことで、冷静に、そして相手の心構えを整えた状態で会話を進めることができます。

円滑なコミュニケーションを築くためにも、この表現をしっかりとマスターし、上手に活用することをお勧めします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました