「かたじけない」という言葉は、感謝や恐縮、さらには「ありがたい」といった気持ちを表現する際に使われますが、その背景には古語や日本人特有の謙遜の心が息づいています。
この言葉は、単なる感謝の言葉にとどまらず、相手に対して深い敬意を表現する手段としても使われます。
この記事では、「かたじけない」の意味や由来、適切な使い方について解説するとともに、誤用例や類似表現を通じて、日常生活やビジネスシーンでの活用方法についても触れていきます。
この表現をしっかり理解することで、より豊かな日本語表現が身につくことでしょう。
「かたじけない」の意味
「かたじけない」という言葉は、感謝や恐縮、ありがたいという意味を持っています。
この言葉は、漢字で書くと「忝い」と表記されますが、一般的にはひらがなで「かたじけない」と書かれることが多いです。
主に書き言葉として使われることが多く、口語では「ありがたい」という表現が一般的です。しかし、「ありがたい」のより丁寧な表現として、「かたじけない」や「恐れ多い」といった言葉が次第に広まりました。
「かたじけない」の由来については諸説がありますが、最も有力な語源として考えられているのは、「かたしけ(難気)なし」という言葉です。
この言葉は平安時代以前から存在しており、「難しい」「困難である」といった意味が含まれていました。元々は「恐れ多い」といった意味で使われていましたが、次第に「ありがたい」や「申し訳ない」といった感謝を込めた意味に変わっていったとされています。
「かたじけない」と言われた際の返答
「かたじけない」という言葉は日常的にはあまり使われませんが、友人との会話でこの言葉を聞いた場合、どのように返すのが適切でしょうか。
「かたじけない」は「ありがとう」や「申し訳ない」という意味を含んでいるため、返答としては「気にしないで」「どういたしまして」などが一般的です。
もし目上の方から「かたじけない」と言われた場合には、敬意を込めて「どうぞお気になさらないでください」と返すのが良いでしょう。
とはいえ、この表現を使う機会は日常生活では少ないため、注意が必要です。
「かたじけない」の使い方
「かたじけない」は丁寧な言葉ですが、敬語ではないため、目上の方に使用する際は少しアレンジが必要です。
敬語を使いたい場合には、「かたじけなく存じます」や「かたじけないことでございます」と表現します。
また、親しい目上の方には「かたじけないです」を使うこともできます。
「かたじけない」を使った例文30選
こちらは「かたじけない」を用いた文例です。
- こんなにたくさんの品をいただき、心よりかたじけなく存じます。
- 入院中はご親切にお心配りをいただき、誠にかたじけなく思っております。
- あたたかいお言葉、まことにかたじけなく存じます。
- 皆様にご協力いただいたにも関わらず、期待に応えられず、かたじけなく思います。
- ミスを犯したにも関わらず、気遣っていただき、皆様にはかたじけないです。
- 梅宮様、いつもご配慮いただき、かたじけなく存じます。
- 課長にお伝えいただけると、かたじけなく存じます。
- 菅野様の日頃からのご配慮、誠にかたじけなく存じます。
- かたじけなくも、私の分までいただいてしまいました。
- 申し訳ありませんが、かたじけなく私の意見もお聞きいただけますでしょうか。
- 部長にはかたじけなく、日々お心遣いをいただいております。
- こんなに素晴らしい品物をいただき、かたじけなく存じます。
- 私の不徳の致すところ、大変かたじけなく存じます。
- あたたかいお言葉、かたじけなく存じます。
- かたじけなくも、私の分まで頂戴しました。
- 道案内だけでなく、わざわざご親切に案内していただき、かたじけないです。
- こんなにたくさんのお土産をいただき、本当にかたじけないです。
- 「お茶をお持ちしました」「かたじけない」
- 先日は素晴らしい贈り物をいただき、まことにかたじけないです。
- ありがとうございます。かたじけないですが、よろしくお願いします。
- 先日、私が説明を聞かずにトラブルを起こしてしまい、誠にかたじけないです。
- 成果に対して過分なお褒めの言葉、私にはかたじけないお言葉です。
- 長時間ご協力いただいたのに、採用に至らず、かたじけない気持ちです。
- かたじけない。先日のメールは私の誤りでした。
- 本日は遅れてしまい、大変かたじけないです。
- お約束の時間に遅れたにも関わらず、温かく迎えていただき、かたじけないことでございます。
- 御社にはいつもお世話になり、このような物までいただき、かたじけないです。
- いつも無理を聞いていただいているにも関わらず、さらにお願い事をしてしまい、かたじけなく思っております。
- いつもご配慮いただき、かたじけないです。
- 大きなチャンスを逃してしまったにもかかわらず、温かく迎え入れていただき、本当にかたじけないです。
「かたじけない」の使い方の誤り例
- かたじけないのですが、お電話してもよろしいでしょうか。
- かたじけなければ、こちらでお待ちいただけますか。
- この成果に対しては、かたじけなく思います。
- このチームの一員として選ばれたこと、かたじけなく思います。
- かたじけなく、前田はただいま外出しております。
このような使い方は不適切です。
「かたじけない」の類似表現
「かたじけない」には、「ありがとう」と「恐れ多い」という二つの意味があります。
それぞれの意味に対応する類語を見てみましょう。
「ありがとう」の意味で使う場合の類語: ありがたい、感謝の気持ち、御礼、謝辞、深謝、多謝など。
「恐れ多い」の意味で使う場合の類語: とんでもない、申し訳ない、恥ずかしい、恐縮、もったいない、有難い、など。
「かたじけない」には、意外に多くの類語があることがわかります。
「かたじけない」の使い方を営業マンが知る
この記事では、「かたじけない」という言葉の意味や使い方、類語について解説しました。
普段自分で使うことは少ないかもしれませんが、映画や歴史小説の中ではよく耳にする表現です。
その由来を遡ると、平安時代から使われてきた、非常に古い言葉であることがわかります。
さまざまなニュアンスで使えるこの言葉を理解することで、登場人物の心情をより深く理解することができます。
感謝の気持ちを表す際に、謙遜しながら相手に伝えるこの表現からは、日本人特有の謙虚さが感じられます。
普段から、「かたじけない」を積極的に使うことを心がけると良いでしょう。
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